第5章 塀の先には…
あ…
ク「キノイチ…?」
レ「お前らまさか…!」
あー…もう時効か…
驚く二人と手を頭に当てる私と何も分かっていない様子のゴン君
ゴ「え、なに?二人は知り合いなの?」
レ「ゴン!お前知らないのかよ!」
ク「キノイチ。裏社会で通用する言葉だ。殆どは闇研究のグループを指す。法外な兵器や薬品を取引していて、人体実験が許されている数少ない組織だ。
確か後継者が行方をくらませていたと聞いていたが…もう十年前の話だぞ」
レ「その報酬がとてつもない額なんだぜ!?」
ゴ「そうなの?」
”化け物だ!!”
”出て行け!!”
ああ、やめて欲しい。そんな目で私を見ないで…
他人の目が…痛い…
「その様子だとまだお友達には言っていないみたいね。気にすることないわ、ウチのイルミも偽名で参加したもの。
本当ならゾルディック家では異例だけれど、旦那と息子の勧めだもの…
場所を変えて話をしましょう。まあ、着いて来られれば、の話ですけど」
そう言って婦人は林へ姿を消した
「……皆さんすみません、騙してたわけじゃないんですけど…
私行きます。行く権利があるのは私だけなので、何とかキルア君を取り戻しに行ってきます」
き「お姉ちゃん、帰ってくるよね?」
「ええ、貴方は私のたった一人の妹だもの。置いて死んだりはしないわ」
ゴ「…」
きくの頭を撫で、私は婦人を追った。その様子をゴン君がじっと見ていた。
き「お姉ちゃんは、いつか死のうとしてるんだ…」
ゴ「ん?」
き「自分は生きちゃいけないって思ってるから。そのリミットは刻一刻と近づいてる。
だから私は未熟を演じるの。「まだお姉ちゃんがいなきゃ駄目だよ」って、それなら未練を感じて少しでも延ばすことができるから。私が止めなきゃいけないんだ…」
ク「…」
レ「…」
「まさか本当に付いてくるとは…」
「知っての通り異常者なんでね、奥様」
「私の名はキキョウです。貴方まで執事のような呼び方は控えなさい」
着いたのは屋敷の一室。廊下が暗く、じっとりしていて不気味だ、よくこんな場所で生活できるものだ
重い扉を開き、中へ入ると色々な匂いが鼻を通った。鉄のような匂い、焦げ臭い匂い、腐敗した匂い、どれにしろ私を不快にさせる物ばかりだ
その部屋につるされていたのは、両手足を拘束された彼だった