第5章 塀の先には…
((パンッ
次の瞬間、身体が浮いた。ドサリと音を立てて地面に打ち付けられた
ク「ビオラ!」
き「お姉ちゃん!!」
視界がぐわりと揺れる。あー刺さったな…皆が私の傍に駆け寄ってきてくれたのは確認できた。
「な、なんで…」
ゴ「分からないの?ビオラにとって君が大切だったからだよ!」
横で動揺する執事と声を張り上げるゴン君。
駄目だ、そんな事してる場合じゃない。もう一つ、気配がある。伝えなきゃ…
「まあ、何その言い草。見習いの癖にクソ生意気な。まるで私達がキルを虐めてるみたいじゃない」
姿はゆがんで見えない。しかし、婦人の声だ、隣にも誰かもう一人いる…
レ「ちっ、また毒か!?もう解毒剤はないぞ!」
「……大丈夫です、レオリオさん」
レ「!?」
ぐらつく頭で上半身だけ起こした
「多分ただの睡眠薬です。ゾウとか撃ち落とす用の」
き「ゾウって普通の人間なら死んでるレベルの投薬だよ?」
「キルア君程じゃないですけど、私にもある程度毒の耐性があるんです。後40秒程で動けます」
レ「お前色々やべぇな…」
少しずつ歪んだピントは元の状態を回復していく
「…あの時間で全快するとは…噂通り只者じゃないですね…」
貴族のようなドレスを身にまとった夫人は顔に包帯が巻かれ、目元にはグラスのような機械をかけていた。そのコントラストが又もや異様な雰囲気を漂わせている。隣には、おかっぱの着物を着た少女がいた。目は大きくつり目で、どことなくキルア君の面影を残している
「初めまして、私はキルアの母です。貴方達の事はイルミから聞いています」
藤(イルミ…)
「キルアに会いに来てくれたのはとても嬉しいのだけど…彼は今独房にいます」
ク「独房…?」
「キルアは自分の行動に自ら反省し、我が家に戻って来ました。
彼から伝言です、貴方達が来たら伝えて欲しいと」
そう言うと彼女の目元から機械音が聞こえ、
ノイズ混じりの彼の声が聞こえてきた
(会いに来てくれてすっげー嬉しいよ、
でも、今は会えないんだ。ごめん)
ゴ「キルア…」
端的な放送が終わるとゴン君は寂しそうに呟いた。
「という訳で今は彼に会すことはできません。ごめんなさいね」
どうしよう…このまま引き下がれない…
「ああ、貴方には個人的に話があります。
木ノ一サクランボさん?」