第5章 塀の先には…
道なりに暫く進んで行くと、石が積まれたゲートのような場所にたどり着いた。しかし、そこにはちゃんと門番がいた。こちらはさっきの人と違ってちゃんと追い返す面構えをしていた。服装からして噂のここの執事だろう
「貴方達がしていることは不法侵入よ、引き返しなさい。ここまでは大目に見て来たけど、この線を越えれば実力で排除します」
門の前に一人立つ彼女はそれだけ言うと再び口を紡いだ。なんだか自分の分身を見ているようで嫌だと思った。
ゴン君が友達に会いに来ただけだと言っても応じようとする様子はない。それを見て彼も心を決めたらしく真っ直ぐ、ゆっくりと前進する
((ガンッ
案の定ゴン君は執事の持っているステッキで殴られる。それが武器なんだ…これで排除できるのはまあまあな腕前だな…
レ「ゴン!」
反動で後ずさるゴン君をレオリオさんが心配して支える
ゴ「みんな…手出さないでね」
また、私に怒った時の声色で一言言うと再び足を動き始めた
―――
あれからどれくらい時間が経っただろう。しかし、一つだけ分かることは、ゴン君がさっきから同じことを繰り返していることだ。ゲートに近づけば殴られ、またゲートに近づく。それが例え体がボロボロになろうとも
「…ッ」
執事は段々その動きにひるんできた。いや、正確にはゴン君の意志の図太さに、だと思う
「貴方馬鹿なの!?こんなボロボロになってまでキルア様に会いたいわけ!?」
ゴン君は…黙って何も言わない
「貴方達も止めてよ!!友達なんでしょ!?」
その言葉も、レオリオさんもクラピカさんも通じなかった。彼らもまた、ずっと遠くを見据えていた
ゴ「君はミケとは違う。ちゃんと、心がある。だから俺を殺さないんでしょ?」
「…!」
ゴ「なんで分かってくれないかなぁ…俺はただ、キルアに会いたいだけなのに…
友達に会いたいだけなのに…
なんでなんだよ!!!」
ここで初めて彼は拳を振りかぶった。しかし、当たったのはすぐ横のゲートの柱
瓦礫と共に執事の膝も崩れ落ちた
「……
お願い、キルア様を助けてあげて」
涙を流す執事に皆の視線が集中している中、私一人、もう一つの気配があることに気が付いた
「危ない!!」