第4章 壁と黒い影
ク「理解できない。何故そこまでしてビオラに執着する!」
ギ「父さんから頼まれたんだよ。出来るなら彼女の身柄を拘束して連れてきて欲しいって。
本来の目的はハンターの資格取得と弟を連れ戻すこと。
どっちも達成できたから手を出してるだけ
キルは今家に帰ってる。大人しく付いてくれば手荒くはしないし、そっちの目的も達成されるんじゃないの?」
「…」
ゴ「ビオラは俺達とキルアを取り戻すんだ!!勝手に決めるな!!」
断れない私にゴン君がきっぱりと言ってくれた
レ「そうだ!おめーみたいな気持ちわりぃ奴と行くよりはよっぽどいいだろうよ」
ギ「はぁ…相変わらず五月蠅いな…
まいいや、そっちから来てくれるなら手間も省けるし願ったり叶ったりだ。
ククル―マウンテン。そこがゾルディック家の居住地。キルはそこにいる筈だよ、ま、せいぜい頑張って」
そう言うとギタラクルは姿勢よく歩いて去って行ってしまった
ク「大丈夫か?」
「え?」
ク「さっきの気絶も、大方奴が関わっている可能性が高いことをレオリオから聞いたからな…」
「…はい、今は」『あの人は、私に一体何を伝えたかったんだろう…』
私は未だ頭の中で奴の言葉の意味が拭えずにいた
レ「よっしゃ!邪魔な奴はいなくなったし、場所も分かったし本格的にキルアを探しに行くか!」
「………」
ゴ「ほら、ビオラ早くー」
「あ…はい」
本当は、キルア君を探すなんて気が向かなかった。出来ることならこのまま彼の前から消えてしまいたかった
だって、私は彼を庇えなかったから
沈んだ気持ちで身体を動かし、いつの間にかククル―マウンテンのすぐ側まで来ていた。
どうやら観光地になっているらしく市営バスが通っていたことが幸いなのかもしれない
「こちらがかの有名な殺し屋一族のゾルディック家の敷地の正門になりますー。ここから入れば二度と出られないことから”黄泉の門”とも呼ばれています」
ツアーの終点でバスガイドの女性が営業のトーンで説明した
確かに、白塗りの巨大な塀にマトリョーシカのように幾つもの連なる門、てっぺんにガーコイルの像があるそれは物々しい雰囲気を語っていた