第4章 壁と黒い影
レ「あ、兄貴ぃ!?」
キルア君のお兄さん…つまり、私が対峙したギタラクルも…
殺し屋
ギ「母さん泣いてたよ、母さんとミルキ刺したって」
キ「…ああ」
レ「そりゃそうだろ…実の息子に殺されかけたなんて…」
ギ「感激してた。あの子が立派に育って嬉しいってさ」
レオリオさんが無言でズッコケた
それよりも何だろう…さっき私が戦った時よりも禍々しい渦が増しているような気がする。それに気がついているのかキルア君も冷汗をかいている
ギ「けど一人だと心配だから一応様子を見に行って欲しいって言われたんだけど、
奇遇だね、キルも受けてたんだこの試験」
キ「ああ…」
ギ「お前はハンターにはなれないよ」
何を言い出すかと思えばキルア君の意思をバッサリと切り捨てた
ギ「お前は意思を持たない闇人形だ。人を殺すことでしか安心感を得られない」
キ「…がう…」
ギ「お前の天職は殺し屋なんだから」
キ「違う!!」
キルア君は項垂れたまま兄に反論した。ギタラクルは何も思わない黒ずんだ瞳で見つめる
どちらかというと本人が人形のようで身震いする
ギ「何が違うの?どうせ目標なんてない癖に」
キ「俺はもうただの人形なんかじゃない!やりたいことだってある!」
「…!」
試験が始まる前、私が藤に宣言したことと同じ言葉がホールに響いた。やはりキルア君も…
私は悲哀の目で彼の姿を見つめた
ギ「へー、何がしたいの?言ってごらん?」
ギタラクルはそんなキルア君に気にも留めないように言った
キ「……ゴンとビオラと、友達になりたい……
殺し屋業なんてもううんざりだ。殺人鬼なんか辞めて…普通に遊んで暮らしたい」
「…!」
小さく呟かれた言葉は、少なくとも私には、強く、大きく揺らいだ
ギ「無理だね。どうせお前はゴンですらも裏切る。お前は人を殺せるか殺せないかでしか見てない
傍にいる内に試してみたくなる。
殺せるかどうか」
キ「ッ…」
私の肌からにじみ出る水分は一定のリズムで床にポタ、ポタと滴る。似た者同士、ギクルから発される言葉は洗脳のように私の過去をぐりぐりと踏みにじる
ギ「別に気に病むことじゃないさ、キルと同じような人は意外と近くにいるから」
ギタラクルが徐に私を指さした