第5章 海いこうぜ![5]
「撮影開始まであと1時間くらいかぁ…、飴ある?」
「ある、と思う」
眠気の原因が低血糖ならば、取り敢えず血糖値を上げるべし、と龍之介はの部屋のロックを解除する。
特段止められもしなかったので、天と楽も龍之介たちに続いての部屋へと入った。
「は座ってていいからね」
「ありがとー」
慣れた様子での荷物を探り、小さなポーチを取り出す。
勝手に開けて良いのか?と楽が訝し気に見守る中、龍之介はポーチを開けて中から小さな飴玉を取り出した。
「これ入れておいてくれたんだね。いい子」
「龍くんが作ってくれたのだもん」
「作った…?」
「うん、暇のある時に。ここも刺繍したんだよ」
「私裁縫スキル全くないからホント嬉しかったのー」
「、あーん」
「あー、ん」
小さな飴が奥まで入り込まないようにそっと舌に乗せれば、口を閉じたはそのまま龍之介の指先に口付ける。
「これで一先ず落ち着くと良いけど」
「抱っこしてもらってる間に眠気落ち着いてきてたからきっと大丈夫」
「甘やかされて、体内で糖分精製してたんじゃね?」
「かもしれない」
くすくす笑いながら飴玉を転がしつつ、は立ち上がりバスルームへ向かう。
「みんなシャワー浴びなくて大丈夫?」
着替えもしなければならないのだから、トレーニングでかいた汗を流さなければならない。
それもそうだ、と天と楽は軽く挨拶をしてから自室へと戻っていく。
はそんな二人を見送ってから龍之介を見上げた。
「一緒に浴びよ?」
「うん、そうだね」
の誘いににこりと微笑み、彼女に近づけばそっと顎を掴んで口付ける。
すぐに深まる口付けは舌が絡んで、飴玉を更に早く溶かしていく。
「っふ、ぁ…」
「甘い。いちご味だ」
「ブブー。アメリカンチェリーだよ」
「ほんと?もう1回確かめないと…ね?」
「んっ、ぁ…ちゅ…」
「ん…確かにチェリーっぽいかも」
「はふ…りゅーくん」
ぽわりとした声で呼ばれ、龍之介がへと視線を向ければ、彼は笑みを浮かべながら自らの唇を軽く舐めた。
明らかに欲情が灯った瞳。
これを見逃す手はない。
「1回だけ、しよ?」
「もちろん。朝からエッチなも可愛いよ」