• テキストサイズ

君は水面に輝く光【番外編・短編集】

第5章 海いこうぜ![5]




そう言ってにこりと微笑む龍之介の無邪気過ぎる笑顔に、楽は肩を落とし項垂れる。
取り敢えず各々着替えようという事で、皆自らの部屋へ戻れば、数分後にはの部屋の前に全員が揃った。

「じゃ、行こっか」
「はーい」

軽く伸びをしながらロビーへ降り、ホテルを出れば軽く準備運動。

「どれくらい走る?」
「と龍のペースは無理」
「だね。軽く敷地内1周かな」
「おっけー」

天を先頭に、楽、龍之介、と順に走り出す。

「朝走るの気持ちいいよねー」
「空気が澄んでるよね!」
「朝ごはんも美味しく食べられそ」
「あはは!確かに!」

並んで話しながら走ると龍之介をちらりと後ろ目に見ながら、楽は天に並ぶ。

「俺らもそれなりにトレーニングしてる、けどよ」
「あの2人は体力おばけだから仕方ないよ」
「あんな余裕で走られると、なんか腹立つな」
「まぁ、ちょっと悔しいよね」

龍之介のフィジカルの高さにプライドを刺激され続けている天と楽。
更にまで体力底なしとなれば、そのプライドはさらに刺激されるのだろう。
呟くなりペースを上げる天に、楽も続く。
まだ余裕を見せる龍之介とに、どんどんペースを上げ、予定していたコースをあっという間に走り終えた。

「……はぁ、はぁ…」
「っあー、やっべ、ペース上げ過ぎた」
「天も楽も、ぴゅーんって走ってたね」
「早かったね、2人とも!」

ペースを随分と上げたにもかかわらず、殆ど呼吸も乱さず颯爽とついてきたと龍之介に、天も楽も項垂れてしまう。

「龍はともかく…何でまであっさり着いてくんだよ…」
「たまに龍くんと走ったりしてるからかなぁ」
「はスタミナあるもんね」
「持久力なら負けないよー」

にぱりと微笑むは何とも可愛いが、男としてのプライドはチクチクと痛む。
しかし、この後も撮影が控えているのだ。
これ以上疲労を増やすわけにはいかないと、一同一旦部屋に戻ることにした。

「龍くん」
「ん?」
「なんか、すごく眠い…」
「え?!抱っこする?」

甘々である。
抱っこはいい、と静かに断られ僅かにしょんぼりとした様子の龍之介。
しかし、眠気を催したは明らかにべたべたに龍之介に甘えている。

/ 63ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp