第3章 海行こうぜ![3]
『さんのこの様子から、日々慈しまれて愛されてるのはよぉくわかりますけど』
『ベッタベタに甘やかしてますよ、TRIGGERの3人は』
『っちが甘えまくってんのもあるけどなー』
『そこが可愛い』
『やだ照れるぅ』
『さっきからそれしか言ってねぇじゃん!どんだけ好きなんだよ!』
『めっちゃくちゃにすっごくちょー―愛してる』
『また愛してるって言った!!』
がーっ!と膨れる悠に、今度は巳波が悠をなだめ始める。
「これ、流せます?」
「ちょーーーっと厳しいですね。特に九条くんがにべた惚れでファンを蔑ろにしてると思われるとTRIGGERにとっては宜しくないと思うので」
この部分、後半全部カットで。
そう言って万理はニッコリ笑顔のまま手でハサミのようにチョキチョキと指を上下させる。
「さんがただただベタ甘に愛されてるのが分かっただけでしたね、このトーク」
「は本気になったら全人類虜にできるんで」
「否定しきれないところが怖いです」
苦笑する宇都木に万理は頷き、トークの行方を見守る。
『さて、名残惜しいですがそろそろお時間も迫ってまいりました。明日も早いし、そろそろトークも終わりましょうか。チケット残ってる人ー?』
残ったチケットは飲み物やお菓子と交換が可能らしい。
がチケットを集め、交換へと向かう。
『テキパキ動きますねぇ』
『一織に朝怒られたの聞いてるんじゃない?』
『ああ、MC全うしてくださいよ、ですか。確かにあれからミス少ないですね』
仕事なら尚の事、同じミスは犯さない。
だからこそ、一織も最初に厳しく言ったのかもしれない。
『お待たせ―!全員分貰えたっ!はい、環とー、一織とー、陸とー、ナギくんの!』
『ありがとう!』
『ありがとうございます』
『thank you、』
『棗さんと、いすみんの!』
『ありがとうございます、さん』
『どーも』
それぞれに分けられた袋を手渡し、は礼に応えながら微笑む。
『はい、天の』
『ありがとう、』
『こちらこそ、一緒にいてくれてありがとう』
にこりと微笑むは何とも可愛い。
そこにスタッフからカットがかかり、本日分の撮影終了が告げられた。