第3章 海行こうぜ![3]
「ちゃん大騒ぎだったね」
「すみません、俺のせいで」
「いいのいいの。じゃあ、今度は十くん悶絶させるくらい可愛くしとくから、期待しててー」
くすくす笑いながらをスタイリストに託し、龍之介は楽の元へ。
「よ、色男」
「それは楽だよ。天は着替え?」
「おう、人数多いからがお前にハッスルしてる間に着替え始めようってな」
大き目に仕切られた仕切りの中からは、ワイワイと着替えている様子の声が聞こえてきている。
大人組はジャケットを脱いで少々着崩すのみなので仕切りは必要ないと判断されたようだ。
「ジャケット脱いでネクタイ緩めるだけであそこまではしゃげるのすげぇな」
「それもの可愛い所だよ」
「そう言い切るお前もすげぇよ」
「ちゃん着替え終わりましたー」
「お待たせしましたー!」
うーーーわーーー、可愛いーー。
着替えスペースから出てきたは、淡いピンクの下地に白い小花が散ったレースの浴衣を着用し、これまた淡いピンクと白の兵児帯を結び、何とも愛らしく浴衣を着こなしていた。
手元には総レースの巾着袋。下駄の鼻緒もレースである。
髪は軽く巻いて団子にし、簪や櫛で愛らしく飾られており、愛くるしいにもほどがある。
何もかもが可愛いその姿に、龍之介はスタイリストの言葉通り悶絶である。
「天使…天使が舞い降りてる…!」
「龍くんー!」
「、走ったら危ないよっ」
「へーき!ぎゅーっ」
天使の笑みで抱き着いて来るをそっと抱きしめ、龍之介はを見る。
「可愛すぎるよ、」
「ホント?やった!」
「可愛すぎて離せなくなりそう」
「離して欲しくないけど…そろそろ時間だって」
高校生4人組は活動時間が決まっている。
その為に大人組より一足早く撮影を開始するようだ。
「そっか。じゃあ…終わった後にね」
「うん、また後で」
そっと背伸びし龍之介の頬に口付け、は手を振りながら撮影組の方へと駆け寄っていく。
でれでれな笑顔で見送る龍之介に、ん、と楽がハンカチを差し出した。
「ん?」
「ほっぺ。のリップ付いてる」
「あ、ありがとう」