第3章 海行こうぜ![3]
夕食の撮影を終え、一同はホテルのとあるホールへと集められていた。
これからそれぞれのチームに分かれての撮影である。
「では、未成年組の皆さんはこれからお祭り屋台での撮影です」
「わーい!お祭り!」
「折角なので浴衣を準備しました!これから着替えて頂きます」
「浴衣?俺はの浴衣を見れないの…?」
「残念だったな、龍之介」
「見られないのは御堂さんもでしょう?私と亥清さんで堪能させていただきますね」
絶望顔の龍之介に虎於が鼻で笑えば、巳波が静かに突っ込んだ後、勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「十くん、大丈夫。見れます」
「!ありがとうございます!」
のスタイリストの言葉に満面の笑みでお辞儀をする龍之介である。
「成人組の皆さんは、バーに移動していただきます。そのままの格好だと窮屈かと思いますので、ジャケットを脱いで置いてってください」
そんなスタッフの言葉に、は龍之介の傍へと即座に移動。
「?」
「さぁ、脱いで。脱ぎたまえ」
「どこの王様なのちゃん」
「脱げって言われると脱ぎ辛い…」
そうはいってものお願いはすべて受け入れる器のデカさを持つ龍之介は、軽く首を傾げながらもジャケットを脱ぐ。
なんなんだろうとを見れば、しっかり視線を龍之介に向けながらも悶絶する姿。
「かっっっっこいい…!ジャケット脱ぐだけでかっこいいの何なのもう!あああ!!ネクタイ緩めないで!やだ!好き!!!もっかいやって!」
「も、もう一回?」
「わんもあ!!」
「う、うん」
聞くんかい。
と律儀にネクタイを締めなおす龍之介に全員が心の中で突っ込み。
「」
「はい!」
「そんな可愛く見つめられると、困っちゃうな」
掠れたような色っぽい声で呟きながらそっと微笑みつつ、ネクタイを緩める龍之介。
その仕草には失神寸前だ。
惚れ込み過ぎにもほどがあるだろう、と各々ツッコミたいが、この2人はこれが日常である。
「……やばい…やばすぎる…好き…ホント好き…もーー!龍くんカッコいいぃ!大好きー!!」
「俺も好きだよ。でも、そろそろ着替えておいで?」
「あいー」
よしよし、と頭を撫でながら用に仕切られた更衣室まで送っていく龍之介。