第2章 海行こうぜ![2]※
「ハル!女の子に気持ち悪いは失礼だろ?!って可愛いのかよ!いや可愛いけど!」
「十さんに酔っ払ったさんは私たちにはどうにもできません。その可愛さ中々見れませんから、ごゆっくり楽しんでください」
「いおりんに同じぃー」
「ずっとこのまんまぁ?!」
「大丈夫…ふふ、あと5秒で落ち着くから…ふふ…」
ぺちぺちと頬を叩き、ややにやけが残っているが平常心を取り戻すに、悠は思わず拍手である。
「すっげぇ」
「気ぃ抜くとすぐにやけそうになるから、そん時はまた言って」
くすくす笑うに、わかった、と頷き、悠はそのままを見る。
整った顔立ちは、その時によって表情が良く変わる。
初めて会ったときは喧嘩腰になってしまったが、それでもはなぜか悠にだけはいつも笑顔を向けてくれていた。
「…会うの遅すぎた」
「え?」
「なんでもないっての」
そんな悠の小さな呟きを耳にした虎於。
悠に顔を向け、ほぉ?とにやりと笑う。
「情緒面はお子様かと思ったら…」
「は?なんだよ」
「亥清さん、初恋ですか?」
「え?!いすみんが恋?!」
「ちっげーから!!」
「お前ら…ちゃん好きすぎだろ…」
「そういう狗丸さんはどうなんです?」
現状、虎於、巳波、悠の3人は気持ちの大きさがどうあれに好意を抱いているのは確か。
唯一、トウマだけがどう思っているのかわからない状況である。
「は、俺?!」
「見ると、可愛い可愛いは言ってるよな」
「俺の次にと連絡先交換したよな」
「狗丸さんのさんを見る目、どう見ても…」
「な、な…んなわけないだろ?!ちゃんは十さんと…」
何とか話を逸らしたが、悠たちの視線が突き刺さりどうにも逃げ切れないと判断したトウマ。
ごほんと咳払いし、もごもごと口を開く。
「…きだよ」
「なんですって?」
「聞こえない」
「好きだよ!悪ぃかよ!すっげぇファンだよ!!っ!」
そこまで言って、トウマはハッとする。
このテーブルには張本人が席についている。
聞かれた…終わった…。
そんなことを思いながらの席へと視線を向ければ、そこはすでにもぬけの殻。
「あ、あれ?ちゃんは?」
「ついさっき席立ちましたよ」