第2章 海行こうぜ![2]※
「相変わらず、すぐアイツんとこ行ってやがるよ」
虎於が顎でくい、と指し示すのは、TRIGGERの3人が座る席。
「龍くーん!前菜いくら乗ってたっ!」
「あ、そうだったね。残っちゃった?」
「ううん、食べた!」
「頑張ったね!偉いよ、!」
「えへへーっ。ご褒美は?」
「あとでたっぷりね」
「やったっ、あ、ねぇねぇ天」
「なぁに?」
「ご飯の後のお祭り屋台の撮影、一緒に回ってくれる?」
「いいよ」
「食い気味だな。祭りか、いいな」
「楽はお祭り男だもんねぇ。ふふ、法被姿の楽カッコ良かったもんね」
にこにこと微笑み、もう一杯~と龍之介の手を引きバーカウンターへと向かう。
「まだ虎於くん苦手?」
「前ほどじゃないけど…凄く仲良くなるのはまだ難しいかな」
虎於を介して母と色々あった。
それ故に、虎於が悪い人間でないと知った今でも少し距離を置いてしまう。
「虎於くんはが好きそうだけど」
「誰が私を好きでも、私は龍くんしか愛さない」
「…」
「だから、龍くんも。誰が私を好きでも気にしないで。気にしちゃうその気持ちも私への愛に変えて?」
バーカウンターで少々離れて飲み物を待っていた2人は互いに一歩ずつ近づき、龍之介の手がの腰に周り、の腕は龍之介の首と胸元に触れる。
「俺のヤキモチも何もかも全部、を愛する気持ちに…うん、そうだね。を愛してる。俺の全てで」
「龍くん…私も私の全部で龍くんのこと愛してる」
だから、キスしていい?
そんなの問いかけに、龍之介は優しく微笑み口付けで返す。
「何やって…」
「姉鷺さん、ちょっと待って」
「何で止め…あら、良い画じゃない」
仄かな灯りに包まれたバーカウンター。
天井のスポットライトに照らされて、2人は口付け合っているのだが、衣装のおかげかまるで洋画のワンシーンのような画が撮れていた。
2人の唇が離れれば、額がこつりと合わさり、視線が絡めば2人で微笑む。
「愛してる」
「愛してる」
そんな2人の甘いシーンは、その場にいる全てのものが魅入ってしまう程に美しい。
「使えるかは後から判断だけど、撮っちゃったのは許すわ」
珍しく、姉鷺がOKを出してしまう程の取れ高最高シーンをたたき出した2人であった。