第6章 ピンチは続くよどこまでも?
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「さ、朔ちゃん?!」
「っ、えっ、いやいやいや違…っ、わ、悪い…っ」
慌ててあおから唇を離して顔を背ける。
何をやってるんだ俺は。
本末転倒、自分からキスしてどうする。
…でも、あおと唇を重ねたおかげか、さっきまでの気怠(けだる)さが幾分か和らいだ気がする。
「……朔ちゃん?」
その声にちらりと見やった俺を、あおがじっと見つめている。
「な、なんだよ…」
「俺、誘われて…る?」
「ばっ、違うわ!も、もう本当に大丈夫だから下ろせっ」
『ちぇっ』と残念そうにあおは俺を廊下に下ろした。
「あ、でもホント、朔ちゃん顔色良くなってる。良かった…」
俺をじっと見つめた後、あおが嬉しそうに微笑う。
本当にあおとキスするとあからさまに体調が良くなる。
もっとちゃんとPlayとして成立させれば、もっと効果が…
その時、廊下を歩く足音と話し声が聞こえ、ヤバいと思った俺はとっさにあおの手を取ってすぐそばの教室に引っぱり込んだ。
廊下側の壁際にしゃがみ込んで、足音と話し声が通り過ぎていくのを息を殺して待つ。
「……ふぅ、なんとかやり過ごしたな」
ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、後ろから伸びてきたあおの腕の中にすっぽりと包まれた。
「あ、あおっ、ほら今の内に帰……」
「やだ、まだ朔ちゃんのこと心配だよ…ねえ朔ちゃん、ちゃんとPlayすればもっと朔ちゃんの体調良くなると思うからさ」
やっぱりあおも考えていることは一緒か。
でも、ここじゃやっぱり…
「朔ちゃんの意気地無し」
「は、はあ?」
「そんなに俺とPlayするの怖いんだ」
「違うわアホっ」
「じゃあいいじゃん。それにこれは朔ちゃんのためでもあるんだからさ…」
確かにそうだ。
お互い合意のうえでのPlayなら、どれだけ身体が楽になるのかは興味がある。
「俺ならきっと朔ちゃんのこと救ってあげられると思うから…」
「あお……」