第7章 もやもやするこの気持ち。
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ギターボーカルのあお、遠野くんはキーボードを弾き、あとはベースとドラム、なかなかのイケメン四人編成のバンドがステージ上で楽しそうに音を奏でる。
俺はといえば、そのキラキラとした姿に見惚(みと)れてただただあおだけを目で追っていた。
その時、俺を見つけたあおがこっちに向けて嬉しそうに手を振る。
「ば……っ」
なんだか恥ずかしくなった俺は、『ちゃんと歌え』と口を動かして伝えると、それを読み取ったあおは満面の笑みを浮かべ、またパフォーマンスへと戻った。
ほっと胸を撫で下ろす俺の周りで、『今私に向かって手を振った』だの『ボーカル誰?高山くん?カッコいい!』だの黄色い声が上がる。
……残念だけど、あおは俺に向けて手を振ったんだし、あおは俺のことしかみてないし、なんならあおは俺のもの…
そこまで考えてハッと我に返る。
『あおは俺の…』だなんて……なんだ、この嫉妬みたいな感情は。
あおは俺の幼なじみで俺の生徒で…恋愛対象ではないことは自分が一番理解(わか)ってるはずなのに。
ただ、久しぶりに再会したあおは…カッコ良くなっていて優しくて、それでいてずっと俺を好きでいてくれたDomなだけ…
そんなことをぐるぐると考えながら、盛り上がっている中庭の中心にいるあおから目が離せないでいた───
※お読みいただきありがとうございました♡
この続きはまた書きあげ次第更新いたし
ますのでしばらくお待ちください。