第6章 ピンチは続くよどこまでも?
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週明けの月曜日は思いの外忙しく、あおに遭遇することもないままにあわただしく過ぎていった。
放課後、俺は意を決して約束通り黒崎先生の待つ保健室へと足を運ぶ。
正直ちょっと警戒はしていたが、話してみなければ何も始まらない。
「吉野です、失礼します」
数回ノックして扉を開けた。
そこにはデスクに向かってPCで作業している黒崎先生の背中が見える。
「あ、お仕事中でしたらまた改めて…」
一旦扉を閉めようと目線を下げた時、グイッと中から手を引かれて保健室へと引き込まれた。
「…本当、隙だらけてすね、あなたは」
そう黒崎先生の声がしたかと思うと、俺は閉められた扉の側の壁に押しやられて強引に唇を奪われていた。
「っ、ふ…っ、んぅ…っ」
「っ、は…っ、ふふ、一人でノコノコやってくるあなたが悪いんてすよ、吉野先生」
俺を見つめる黒崎先生の瞳がギラリと輝く。
その強いGlare(グレア)にあてられて、強張る俺の身体は自由がきかない。
「く…ろ…さき先…生っ」
「今日は逃しませんよ。キスしてハグだけみたいな浅いPlayじゃなくて、僕と一緒にもっと深いPlayを楽しみましょう?」
キスしてハグ…保健室であおとしたPlayのことか?
あの時保健室に黒崎先生は居たのか?
「吉野先生、Kneel(ニール)」
そのCommandに、一昨日と同じようにペタンと床に座り込んで黒崎先生を見上げる。