第6章 ピンチは続くよどこまでも?
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───休みも明けた月曜日
結局あの日の夜、電話に出た俺はその主はあおだとは告げずに急用ということにして、黒崎先生とはあれ以上の事はなく帰宅した。
電話口であおの声を聞いた時、なぜかホッとしたことを覚えている。
なのに、後で連絡すると電話を切ったあおには連絡せずじまい。
その後何度か同じ番号から着信があったけど、出ることはしなかった。
なぜあの時あおのことが頭を過って、あおの声にホッとしたのか…
俺はどうしたいんだろう……
「はぁ……っ」
「ふふ、月曜の朝から大きな溜め息ですね、吉野先生」
その声にビクッと俺は身体を震わせる。
「あ、黒崎先…生、おはようございます」
「おはようございます」
「一昨日はありがとうございました。あと…急に帰ってしまってすみません」
「ふふ、急用なら仕方ないですからねぇ」
黒崎先生が妖しく微笑う。
「吉野先生、放課後時間ありますか?保健室でお待ちしてますので」
きっと一昨日の事の口止めとか、その事について何か話すことでもあるんだろう。
「…わかりました、放課後お伺いします」
俺がそう答えると黒崎先生は職員室を出ていった。
今日はあおのクラスの授業もないし、なんとなくあおと顔を合わせづらいから、上手く一日をやり過ごさなきゃ…
平穏無事に臨時教員の期間を終えるはずだったのに、なんでこんな事になっているんだろう。
「はぁ………っ」
俺は今日二度目となる大きな溜め息をついた。