第4章 保健室の告白。
11)
どのくらい経っただろう。
緩まるどころか、さらに力を増して俺を離さないあおの腕。
「っ、あおっ、ちょ…苦し…っ」
「あ、朔ちゃんごめんっ」
ようやく緩められたあおの腕。
「っ、はぁ…っ、バカ力で抱きつくな!死ぬかと思った…」
確かに物理的には苦しかった。
けど、あの包まれるような安心感は…
「ごめんって……あれ、どうかした?朔ちゃん」
「いや…おまえに抱きしめられた時、なんだか安心感が…」
そこまで言って俺はしまったと気づく。
こんなことを言えば、あおが喜ぶだけ…
恐る恐るあおの顔を見やれば、案の定満面の笑みを浮かべていた。
「ヤバ、朔ちゃんにそんなこと言ってもらえるなんてめっちゃくちゃ嬉しい」
「っ、あー…その安心感はさ、ほら…多少無理矢理とは言え、Playが成立したからじゃないかと思うんだけど…」
我ながら言い訳がましいとは思うけど、たぶんきっとあの安心感は俺が『Kiss』のCommandに従ったから得られた感覚で…うん、きっとそうだ。
俺がそうやって言い訳がましいことを言ってあおと自分を納得させようとしていた時、あおの両手が俺の肩をガシッと掴んだ。
「…ねえ朔ちゃん、俺だけのSubになってよ」
「はあ!?」
あおの突然の申し出に思わず大きな声を出してしまう。