第16章 伏黒甚爾 薬のチカラ
時折見せる笑顔にキュンとしながら彼氏を見送る。
わがままを言いたいけれど邪魔をしたくない。
「んじゃ、俺も一発当ててくるわ」
「お金なかったんじゃないんですか?」
「昼飯代」
「あぁ…」
恵はあんなに立派なのにこのクズ親父。
恵は三時間もしないうちに帰ってくる言づてもあったので部屋の掃除なんかをして時間つぶし。
「ああああっ…!
任務中に発情しちゃったらどうしよう!?」
邪魔をしたくないどころの話ではない。
わたしが薬を盛ったせいで…恵が…
嫌な汗がダラダラ出てくる。
「あれえ…?」
暑さと焦りがごっちゃになったせいかと思ったが
下腹部が異様に火照り出している。
「はぁ…はぁ、…恵ぃ…」
疼きが止まらなくて一人で立てなくなる。
アソコがヒクヒクしておしっこを我慢している感覚に近い。
一人で弄ろうかと躊躇していると玄関扉が開く。
「熱中症か?」
横たわるわたしに近付く恵じゃない足音。
寝たふりをしてやり過ごそうかと思ったけど何もしてこない。