第15章 伏黒甚爾 縛られて
「ねえ貴方!これはやりすぎよ!今すぐ外しなさい!」
「一回だけなんだろう…?
ああ、連絡した相手が到着したみたいだ」
「…っ」
相手の顔を知らないで犯されるなんて怖すぎる。
人数は?道具は?どこから触ってくるの…?
「あぁ、自己紹介なしではじめる感じですか」
重みのある深い男の声。
男に気取られないように恐怖心を押し殺す。
「じゃあ旦那様のご希望通り
抱かせてもらいますね。奥さん」
ベッドが重さでひずんで鼓膜にあてられる低い声。
毛先は少し長い…。
いや、そんなことはどうでもいい。
「ひっ…」
首元の匂いを嗅がれるように鼻先がこすれ
ねっとりと舐められる。
「俺の好きな匂いしていますね、奥さん」
「んんっ」
お金で雇われただけあってこの男。上手い。
まだ一分も肌を合わせていないのに全身で感じてしまう。
一度体が離れると服を脱ぎ捨てるような音が聞こえる。
「奥さん。ひと肌で温められるの好きだろう?
俺がたっぷり溶かしてやるよ」