第15章 伏黒甚爾 縛られて
「頼む!なまえ!一回だけでいいから…!」
土下座して両手をこすり合わせているのはわたしの夫。
夫はお金くらいしか価値のない男で
まさか寝取られ性癖があるだなんて思いもしなかった。
「…シャネルのバッグ」
「ああ!いいよ!いくらでも買ってあげる!
本当にありがとう!なまえ…!」
数時間後、わたしは夫に連れられて高層階のお部屋に案内される。
「男って本当にバカ…」
洗面台の鏡の自分と目を合わせる。
貧乏がとにかくいやで若さを武器にしてお金持ちと結婚。
お金さえあれば幸せになれると思ったのに。
寝室に戻るとお相手はまだ来ていなかった。
「なまえ。こっちに来て」
「その手に持っているものは何よ…。
そんなもの使わなくたって逃げないわ」
「腕をあげて無防備な体を揉まれるなんて興奮するシチュエーションだろう!?
なまえも拘束されるの好きじゃないか…」
それは夫の下手なセックスが短い時間で終わるからだ。
オモチャの方がよっぽどマシだし。
「はあ…。わかったわ」
しかし、両手を拘束されるまでは良かったが
夫は隠していたアイマスクをつけてくる。