第61章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車最終章 夏油傑
「それより体の調子はどうだい?」
「大丈夫です。薬が残ってる感じはないですし、先輩達が適切に処理してくれたおかげです」
「あー…。アレが適切な処置とは思いたくないんだけどね。実際、覚えてたりするかい?」
夏油先輩が遠慮気味に聞いてくる。
処置とは言ってもなかなかハードな光景が伺える。
「いえ…。それが薄らぼんやりとしか。先輩達や伏黒さんの声が聞こえたり聞こえなかったり…。言葉もハッキリしたものではなくて何と言われたかまでは理解できる脳ミソではなかったと言いますか…」
「…そっか。それがいい…」
夏油先輩に気遣っているのではない。
気絶しかかった意識の中で誰かに抱かれ、肉体を打ちつけ合っている感覚はあった。
けれどそれがひどいものじゃないってことだけは理解できる。
まるで恋人が危険な状態だから助けるみたいに。
「先輩も体調どうですか?一日ご飯食べられなかったりしましたけど…」
「むしろ君のことが気掛かりで喉を通らなかったよ。悟や伏黒さんに二人でやるから先に飯行けっていい加減なこと言われるし…」
「ふふっ、そうだったんですね」
「そこ笑うところじゃないだろ」