第60章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車最終章 五条悟
「傑と仲良さそうに話してるとこ行ったら姿見ただけで逃げられるし、嫌われてんのかと思ったらそうでもねぇし。なんでそんなに俺のこと遠ざけてたの?」
「…そ…れは…」
「教えられない?」
五条先輩に見つめられて口を一の字に結ぶ。
性格や態度だけじゃなく、もう一つ理由があって誤解を解かなきゃならないことがある。
「その、顔面が…良すぎて…」
「は?」
呆れかえった声が跳ね返ってくる。
当然だ。顔が良すぎて遠ざけていただなんて言ったら心の内側まで透けてしまう。
「先輩は言われ慣れてると思うんですけど、全身がキラッキラし過ぎててしんどかったんです…。単純に配慮のない周りに対する荒っぽい態度も怖かったのもあるんですけど、一番はその…格好良すぎて…」
第一印象の格好良い人からどんどん悪化させていくも顔が良すぎてすべてチャラになりそうになる。
一目惚れで火傷しても良いんじゃないかって、乙女心を翻弄する怪物にしか見えなかった。
「んだよそれ…。告白かよ」
「いや、告白とは別というか…」
「格好良すぎって惹かれてんのと同義語だろ」
そう言って五条先輩は顎をクイッと持ち上げる。