第60章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車最終章 五条悟
「お待たせ。飯食った?」
「チュロス一本だけ食べました…」
「ははっ、俺の予想があたって良かった。ホテル手配しといたんだ。お腹ペコペコなのにそんなに俺に会いたかった?」
五条先輩は目を細めて笑う。
わたしを腕の中に閉じ込めて、わたしからキスができそうなほど近くに迫る。
「会いたかったですよ。居ても立ってもいられませんでした」
もっと早く向き合うべきだった。
誰よりも強いのに、こんなに優しくなれる人なのにわたしは彼を怖がって遠ざけていた。
本当バカみたい。
手配してくれたホテルは夢の国に出てきそうなロマンチックなお部屋で、テーブルにはすぐ食事ができるように料理が並んでいる。
「うわあ!美味しそう!可愛い~!」
「飾りつけより食いものに目が行くのは流石だな。好きなだけ食べなよ。その後、なまえを美味しく頂くから」
「ふふっ、五条先輩も食べてください。あーん」
照れくさかったけど何もかも嬉しかった。
無事戻って来られた喜び。
五条先輩もすぐ会いたくて電話をしてくれて迎えに来てくれた喜び。
おまけに二人を祝うようにバルーンで飾りつけしたホテルまで用意してくれた。
「まさかお前から食わせてもらう日がくるとは…」
五条先輩は大きな口を開けてパクリと食べ、もぐもぐ口を動かしながらつぶやく。