第60章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車最終章 五条悟
ピピピッと携帯が鳴り続けていると七海くんが声をあげる。
「…戻って来られてよかった。きっとあのことだと思いますよ」
「うん…」
「二人とも何の話をしているの?」
七海くんと通じ合った会話をすると、灰原くんは何だか寂しげな顔をする。
話したい気持ちは山々なのだが内容が内容だけに話しにくい。
いつまでも夏油先輩の電話を待たせるのは失礼だと思い、通話ボタンを押すとどでかい声が飛んできた。
『早く出ろよ!何かあったと思うだろ!』
「え、えええっ!?五条先輩!?」
なぜ、夏油先輩の着信番号から五条先輩の声が聞こえてくるんだろう。
気が動転してワケがわからなくなる。
『お前と番号交換してねーから傑の借りた。無事なんだな?記憶もちゃんとあるんだな?』
そういえば五条先輩が怖すぎて、遠ざけて行動していたのをすっかり忘れていた。
階級違いでまず一緒の任務になることはないし、教室や鍛錬で顔を見合わすことがあっても、そこにはいつも七海くんや灰原くん、夏油先輩や硝子先輩がいて、人を盾にしていたから番号交換の隙さえなかった気がする。