第57章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車-漆-
ダメだな。
頭の中が電車の雰囲気に流されている。
「…?」
車両を移動しようと思ったのだが夏油先輩が通せん坊して通れない。
困ったように目をやると夏油先輩が少しずつ扉の間隔を狭めていく。
「私と二人きりになるのは嫌かい?」
「そ、そういうわけじゃないんですけど…」
ど、どうしよう。
ここは夏油先輩ともやるべき?
「今は…あんまり考えたくなくて」
精一杯に考えた結果、こうするしかないと思った。
突き放した言い方になってしまったが決して夏油先輩とやりたくないわけではない。
密室空間ができあがった瞬間、この車両に閉じ込められる予感がする。
夏油先輩が純粋に二人きりで話したいと思っていたとしてもセックスをしなきゃならない車両になる気がする。
「…うん。そうだね。またゲームして遊ぼうか」
「はい!そうしたいです!」
エッチなことは考えないように明るく振る舞い、今度は七海くんも混じって四人で健全なゲームを楽しむ。
体内時計では夜の時間になり、一両目のロングシート式の座席でそれぞれ寝ることになった。