第56章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車-陸-
勝っても負けても夏油先輩か五条先輩のどちらかと必ずキスをする。
わたしは普通に勝ちたいだけなのに。
「俺らとキスするの嫌じゃないだろ?ゲームにご褒美があると燃えるね」
五条先輩の指示通りに割りばしを引き抜くと耳元で囁かれる。
「次はそうだなぁ…。こっちのが良さそうだな。角度に気を付けてゆっくりとね」
「…わ…わかりました…」
ワザと耳元に声をあててくる。
わたしが反応するのを面白がって五条先輩はイイ声で囁き、指示に従ってゆっくり慎重に抜いていく。
対戦相手の夏油先輩は余裕の笑みで割り箸を取る。
「あっ…」
絶妙なバランスを取っていたと思ったのだが手元が狂ってしまい崩れてしまう。
「やった。私の勝ちだね」
「くっそぉ~」
こっちにおいでと夏油先輩は両手を広げ、ちょこんと膝の上に座るとジッと見つめられる。
「おかえり。なまえ」
ちゅーっと少し長く唇が触れ合い、夏油先輩は満足げな顔をする。