第55章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車-伍-
「やっても良いけど…」
「あのっ!もし仮に妊娠したとしても恨んだり憎んだりしません…!そこは割り切ってできます…!」
扉を開けるにはセックスしかない。
わたし自身ちょっと伏黒さんに惹かれている部分があるけれど、勘付かれたくなくて感情を挟まないアピールをする。
「あぁ…そういう感じね」
「…?」
一瞬、空気がざわめいた。
何か気に障るようなことを言っただろうか。
ほんの一瞬だったから気のせいかもしれないが、近くに来た伏黒さんはシートには座らず目の前に膝を下ろす。
「出してほしいところ見せて?」
「え?」
「ご飯、食べたいんだろ?」
お腹で返事はしなかったが頷きそうになる。
お腹が減って頭がおかしくなりそうだ。
伏黒さんはやる気になってくれたみたいだが脱ぐように指示をしてくる。
「えっと…。じ、自分で…脱がなきゃダメ…ですか?」
脱がされるよりも自分で脱ぐ方がもっと恥ずかしい。
遠回しに脱がせてほしいとねだってみるが。
「ご飯食べる時も自分でやるだろ?だからダーメ」
大人の悪い笑みを向けられて思い知った。