第53章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車-参-
「せっ、せせせせんぱっ…!」
気が付くと五条先輩の大きな手が胸もとにある。
「ん?媚薬飲まないと無理?」
「ボタっ、ン…外して…」
覚悟はしていたがまさか上の服に手をかけられるとは思わず、ブラウスで隠れていた下着が少しずつ露わになる。
「だって見てぇもん。お前の裸」
「っ~…」
真っすぐに見つめられ体が上気する。
けれど見せたいと思えるほど綺麗な体じゃない。
日々の鍛錬や大きな任務で青あざや擦り傷をいくつも作った自分の体だから。
「五条先輩。わたし…水着の女の子みたく綺麗な体じゃないです」
「それが何?」
思い詰めたわたしとは裏腹に五条先輩はあっけらかん顔をする。
「えっ?…だ、だって…」
偶然、先輩達が話していたのを聞いてしまったことがある。
携帯の待ち受け、誰だっていう話を。
「待ち受け…綺麗な女優さん…」
「それ真に受けてんの?」
口を開けば謝りそうだ。
こらえて唇を噛み締めていると頭をポンポン撫でられる。