第53章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車-参-
「体へーき?」
五条先輩が食べる姿を楽しそうに見てくるのでちょっぴり頬が熱くなる。
「はい。何ともないです」
「それなら出来そうだな」
五条先輩の考えていることがイマイチ分からず、頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ。
「まだ推測の段階でしかないが、扉の鍵は後にも先にもお前だけだ。妊娠したら脱出できる。それ以外は貫通扉を開ける鍵に置き換わる」
「!…それならさっき先輩達と」
「開錠条件があるならヤッた場所だ。一両目でセックスしたから二両目が開いた。一両目でやっても三両目は開かない法則があると考えればしっくりこねぇか?」
「なるほど。その条件なら…」
ということはつまり。
五条先輩と二人きりになったのは必然的こういう流れに…
「さっきの続き、今からシよ?」
五条先輩の顔が迫り、慌てて一両目の方向を確かめる。
けれど扉の前で覗きをする人なんて誰もいない。
「あのオッサンが説明してくれたっぽいから心配ない。意図的な覗きなら傑が止めるだろうし」
それもそうだ。
向こうの車両には夏油先輩がいる。
それに七海くんは真面目だし、伏黒さんも落ち着き払っている。
勝手なイメージなのだがあの中で一番腰を浮かせそうなのは直哉くんくらいしか思い付かない。