第53章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車-参-
一人で思考を巡らせる五条先輩は上からじっとわたしを見下ろし、長い睫毛がぴくんと動くと夏油先輩達の方を見やった。
「お前ら全員飯食ったろ。ちょっと実験したいからみょうじ以外、全員出てってくんない?」
「そう言って悟くん。一番風呂独り占めする気やろ」
「俺シャワー派。何なら男くさいお前らから入ってほしいね」
「あぁ!?」
五条先輩はわざとらしく自分の鼻をつまみ、もう片方の手でしっしとやっている。
「あー、そう言うことね」
「甚爾くん。何かわかったん!?」
「まあな。ここはお二人さんに任せて邪魔者は退散、退散」
伏黒さんは大人の余裕の笑みを浮かべたまま車両を後にし、直哉くんはその後ろについて行く。
夏油先輩も七海くんも何か言いたげな様子だったが同じく車両から出て行ってしまった。
「あの…、わたしがお役に立てるようなことは何も…」
「風呂よりまず飯だろ。お前のことだから一緒に説明したら気まずくなる」
「…?」
気まずい説明とは何なのか。
食べかけの冷たくなったピザを食べ、温かなメニューを注文してひとまず食べることを優先する。