第52章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車-弐-
「あ…いや、これは零しちゃって…」
「そうなのかい?」
「は、はい」
大丈夫。きっと大丈夫だと自分に強く言い聞かせる。
つい数分前、夏油先輩が二回射精する間にわたしの体は何度もイかされた。
そんな満足した体が発情するわけなんかないと自分の体を信じることにする。
「それなら良かった。悟が無理やり飲ませたならどう落とし前つけさせようかと」
「渡しただけだよ。つーか出てけよ。用足してぇ」
夏油先輩がわたしに手を貸し立ち上がらせ、五条先輩を鋭く一瞥する。
「…二度とこんな真似するなよ」
「わかったからとっとと行け」
ここにはトイレが一つしかない。
長いこと占領してすみませんでしたと頭を下げてから出て行き、ご飯が出てくるという二両目の車両にやってくる。
「うわっ。本当に食べ物がある…!」
一両目の車両とは打って変わり、居酒屋のような車両が出迎える。
先に食べていた伏黒さんと直哉くんの前には焼き鳥やたこ焼きが並んでおり、壁一面には豊富なメニュー表が飾られている。