第52章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車-弐-
「あ?七海。今なんつった!?」
向こうに七海くんもいる。
この状況が解決したわけじゃないけど、少しばかり腕を握る力が弱くなる。
一気に踏み込んであそこのボタンさえ押せれば…
「愚行だと言ったんですよ。貴方のやろうとしているのはただの強姦だ。本気で嫌がっている女性もわからないようでは良い女性には一生相手にされないでしょうね」
「お前、それ本気で言ってる…?」
「忠告です」
五条先輩が小さく舌打ちをした。
ここでは呪力はまったく使えないが元に戻ったら七海くんが乱暴されてしまうかも知れない。
そうなる前に人が良すぎる夏油先輩が一役買ってくれる気もするが…
「チッ、わかったよ。解放すりゃいいんだろ」
パッと手を離され、呆気なく扉が開かれる。
本気で焦ったけど、五条先輩は本気で襲うつもりはなかったようだ。
「みょうじ!大丈夫か!?」
「はい。どこも心配ありませんよ」
駆け寄ってきた夏油先輩は痛ましい顔を向けてくるので心配させたくなくてヘラっと笑う。
手首が少し痛むけど時期おさまるだろう。
これ以上、争いごとを増やしたくないし。
「ん?その小瓶…」