第52章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車-弐-
「ぃ…っ…ぃや…」
五条先輩は強くてノリが良いけど、実はあんまり二人で喋ったことがない。
なぜなら第一印象の「格好良い人」からどんどん悪化させていった人。
顔は良いのに残念すぎるほど口が悪いし、無茶苦茶言ってくるし、皆のことを困らせる。
わたしは高専内でも一人でいることが少なかったから目の前にいる五条先輩が「乱暴な人」という危険な状況でしかない。
「いやぁぁあああ!!来ないでくださいっ、離してください!!」
腕を強く掴まれて痛い。
「悟!!鍵を開けろ!!」
鍵を閉められてしまったのか、外側から夏油先輩の声が聞こえる。
「何でそんなに怖がんの?まだ何もしてねぇだろ」
「ごめんなさい…、ごめんなさい…っ」
やだ。怖い。
何も考えられなくなるくらい五条先輩が怖い。
「媚薬ならここにある。飲め」
「っ、いやぁ…っ!なんでっ…なんでこんなこと」
「いいから飲め」
「…っ」
どうして答えてくれないんだろう。