第51章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車-壱-
また涙が滲んでくると夏油先輩は「…そっか」といって、優しく拭ってくれた。
「…く、薬…とか…使っていいので…」
「うん…、そうだね。こんな人目のつく場所じゃ正気でない方がいいと思う」
夏油先輩は五条先輩が投げ渡したものを手にし、ボトルの蓋を開けて手渡す。
いよいよ覚悟の時だ。
「二人とも向こうの座席に移動してくれないか?言わなくても分かるだろ」
「へいへい」
「…」
ロングシート式の座席のため死角がない。
五条先輩と七海くんは向こうの席に移動してくれたが電車の音より自分の心臓の音の方が激しく、手にした媚薬を勢いよく流し込む。
「全部飲めて偉いね。具合悪くなったら困るからトイレに行く?」
そう言われてハッと気が付く。
確か五条先輩がバリアフリーのトイレって言っていた。
そこなら広めの場所だし、皆に恥ずかしい姿をお届けせずに済むかもしれないと目の奥が輝く。
「…はいっ!」
「一人で立てるかい?」
「あっ、まだ…効いている感じはないので…」
一人で立てるが心臓の音がバクバクと騒がしい。
今から夏油先輩と妊娠セックスするのだ。