第51章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車-壱-
「東京校呪術高専二年の七海健人です」
「階級は?」
「二級です」
「はっ、雑魚やな。そっちは?」
七海くんは気圧された様子もなく淡々と答える。
さすがは七海くん。
それで終わればよかったのに全身を舐めまわされるような異様な視線を感じ、目線を合わさぬまま相手に聞き返されない程度の弱々しい声で返す。
「七海くんと同じく…二年のみょうじなまえです。二級術師です」
「仲良しごっこかい。ダルイわぁ」
甲乙つけがたいわたし達、高専二年生組。
でも皆仲良しでもごっこ遊びをしてるわけじゃない。
術師でも外で遊んじゃいけないって決まりはないし、任務も鍛錬も真面目に取り組んでいる。
バカにされるようなことなんて何ひとつない。
「みょうじ。あまり気にしなくていい。私達が分かり合っていればいいんです」
「七海くん…」
嫌な気持ちになったのにそっと優しい言葉をかけてくれる七海くん。
…そうだよね。
この場に灰原くんがいないのは寂しいけど、三人で分かり合っていればいいんだよね。
七海くんの言葉にジーンとしていると夏油先輩が口を開いた。