第50章 七海健人 ペアリング
「うーん…全く考えてないって嘘になるけど、勝手なイメージで上手なのかなって。それに初めてが七海くんでよかったよ」
「…!そうですね。その言葉が聞けただけで満足です」
ギュっと抱き締め合ってキスをして、手のひらを重ね合わせるとピッタリはまったリングが光る。
このペアリングをくれる前、皆でお祝いした日に七海くんはお揃いのリングをくれたのだ。
「三人ずっと仲良くいようね!」って七海くんはそんなクサい台詞は絶対に吐かなかったけど灰原くんが代弁してくれた。
「前の指輪ってさ…、本当はどういう意味だったの?」
「…」
「聞いちゃダメなやつ…?」
もう三人でつけることはなくなったけど、そのリングはわたしの指にピッタリとハマった。
灰原くんは指にハマんなかったから三人揃って首飾りにしてたけから、ただの思い違いかもしれないけど。
「そのまんまの意味ですよ」
「というと?」
「ただの願掛けですよ。安全祈願も恋愛成就も込めるなら指輪が良いんじゃないかと…」
「ふふっ。そっかあ…」
失恋した時はめちゃくちゃ凹んだけど、目を合わせづらそうにしてた七海くんを見たらこのままじゃイケないと思って何ともないフリをしていた。
フラれたのはわたしなのになんでそんなに辛そうなんだって思ってたけれど、告白して困らせた自覚があったから責められなかった。
「あの頃から両想いだったんだね」
「惹かれるのは私の方が先かもしれませんがね」
「えっ。うっそだぁー」