第50章 七海健人 ペアリング
初対面の時、めちゃくちゃクールな目で見られた。
口から飛び出す言葉はいつも棘があって、本気で泣きかけたこともあったのに。
灰原くんと一緒に出しゃばり過ぎて怪我をして、あの辛辣な言葉の数々は本当は誰よりも気遣っているんだってあとから夏油先輩に言われて気付かされた。
外見に一目惚れして、内面に壁を感じて、子どもだったわたしはもう一度振り返って好きになる。
「あまり昔のこと思い出さないでください。あの時はああいうしか自分を保てそうになかったんです」
「まだ何にも言ってないよ?」
「顔がそう言ってるんです」
わたしのどこに女性として惹かれる要素があったのだろう。
そう思ってまた考えるとチュッと唇に熱があった。
「なまえさん」
「なーに?」
「もう一回したいです」
マジマジと訴えてくるのが何だか可愛らしくて、そんなに思い出しちゃ恥ずかしいことなのかと笑ってしまう。
「いーよ。何回しても」
「その台詞あとで後悔しますよ?」
「しないよ。七海くんは優しいから」
乳首をいじるペアリングがきらりと光る。
これから先、どんな七海くんを魅せられるだろう。
男の子である七海くんを知っていたようで全然知らなくて、今後の身のためにもベッドの上でおふざけは控えようと思う初夜であった。
<終>