第50章 七海健人 ペアリング
わたしとの人生設計を夢に描いている七海くん。
食通な七海くんと食いしん坊の灰原くんと三人でテーブルを囲み、色んな食べ物を分け合って楽しんだ。
美味しい物だけじゃなく、もっと普通に遊べたらって思うこともあったけど、術師として集まった仲間だから「○○に遊びに行きたい」だとか言えなかった。
普通に遊べなくてもそれなりに笑えて楽しかったから。
だからフラれた時は本当にしんどくて…
「もうなまえさんの心には私はいませんか…?」
「…いるよ。ずっと…待ってたんだから」
嘘だと思いたかったのは現実味がなかったからだ。
失恋から立ち直ってもやっぱり七海くんが好きで、大好きで、何もないフリをしてくれない七海くんのことが…、もっと、もっと好きになってしまった。
「もう絶対に離さないでね」
「はい。もう絶対に離しません」
七海くんに抱き締められて、人生初めてのキスをする。
失恋の日から少し大人になったわたし達はキスだけじゃ物足りなくて、積み重ねた思いを確かめ合うようにベッドの上で裸になる。
「…いいんですか?今日お付き合いしたばかりなのに…」
「我慢してたのは七海くんだけじゃないよ。女だって…性欲あるんだから」
「それは失礼しました」
七海くんはちょっぴり嬉しそうに笑い、それを隠すように唇を重ねてくる。