第45章 五条悟 親友の彼女-捌-
それにしても参った。なまえにここまで傑を動かす原動力があるとは予想外だった。
「なまえ。一夫一妻制って知ってるか?」
「うん。社会の法律でしょ?」
「この国じゃ重婚は認められない。それは呪術界でも同じだ。お前さっき俺の子どもほしいって言ったよな?」
「うん」
「傑に言われたらつくりたいか…?」
俺と傑が好きなのはわかった。
俺が先手を打ったからなまえは俺を選んでくれたけど、傑がもしそれ以上の口説き文句を言ったらと考えてしまう。
「…わからない」
「つまり俺と結婚して子ども産んで、傑は放置…?」
「んー…わからない」
わがままなお姫様だな。可愛いけど。
でも、今の話でなまえと最後までできなかった理由がわかった気がする。
俺はなまえから「好き」といわれて錯覚していた。
なまえと付き合ってからも傑と同格のように扱われた。
けれど、二人きりになれば必然的に特別扱いされ、会えない時間を埋めるようにスキンシップがだんだん激しくなり、なまえも同じように俺を求めてくれた。
「何となく」から「好き」へと昇格して、俺はその言葉を聞いて舞い上がり確信した。
その間、傑は何でもない顔で笑い、普通にしていたからその程度の好きなんだと俺の中で完結させていた。