第45章 五条悟 親友の彼女-捌-
「…嬉しい。ちゃんと好きなんだね」
「ちゃんと好きだよ。マジで」
なまえに食わせてもらうものはどの甘さにもたどり着けなかった。
普通の女となんら変わりないのに視界に入ると目に焼き付けたくて、声が聞こえると神経を研ぎ澄ませるように聞いて、触れたところは直射日光を浴びたみたいに熱くなって、布団に入ると思い浮かべちまう。
近付いてくるクサい女じゃない。
適度な距離にいるのだがいい意味で振り回されてるっつうか平気で惑わすことを言ってきて、本気で知りたがる俺自身もどうかと思うのだが、一つ厄介な感情があるって誰かが言っていた。
「お前の方こそ好きなの?俺のこと」
「好きだよ。…傑と同じくらい」
「…はあ!?ちょ…はああああっ!?」
馴れ初めを思い返していたのにこれじゃあ台無しだ。
聞き間違えもボケてもいない。
ガバっと体を起こしてなまえの体を揺さぶる。
「おまっ、傑と同じって…なんで俺と付き合ってんの?」
「告白されたから」
「傑にも同じこと言ったのか?」
「…うん。そしたらずっと好きだった、悟にとられて後悔してるって…」
なんで今更告白した?
セックスして我慢できなくなったのか?
…いや違う。なまえが告白したから傑は打ち明けたんだ。
アイツはそういうやつだ。
好きな気持ちも、苦しい気持ちも全部押し殺すようなやつだって、あの有様を見てきたじゃねぇか。