第40章 夏油傑 親友の彼女-参-
「…なまえ。私は君にとって…」
「好きだよ。悟と同じくらい」
「!?!?」
天国と地獄を一気に駆け抜けた気分でどっちともつかず混乱する。
「困ったな…。
それじゃあ私もなまえの彼氏になれたのかい?」
「うん…。あの日、同時に失ってたかもしれないって思ったら息もできないくらい苦しくて…。悟の部屋でギュっとされてる間も涙が止まらなくて…、どっちも同じくらい好きだったんだって気付かされたの…」
あの日、運よく生かされたが死んでいてもおかしくなかった。
硝子の治療が終わって急いで駆け付けたが、覚醒した悟がすべて終わらせていた。
静かな夜の高専に帰ると先に帰っていた隣の部屋から声を詰まらせて泣くなまえの声が聞こえた。
ずっと、悟を想って泣いているのかと思った。
けれどそこに私もいた。
もし、心配されてすぐなまえを頼っていたら確実に求めすぎる行為に及んでいた。
もしくは友情を崩壊させるとんでもない言葉を発していたと思う。
だから一線を引く道を選んだのに…
だが、嬉しい。
嬉しすぎて天にも昇る気持ちだ。
言われてしまった以上、自分の気持ちを誤魔化し切れそうにない。
「…私も好きだよ。なまえのことが、ずっと、ずっと好きだった」
「本当…?」
「本当だよ。術師には恋愛感情は必要ないと蓋をして閉じ込めていたんだ。悟に全部取られて後悔してる…」
なまえともっと二人きりの時間が欲しかった。