第38章 夏油傑 親友の彼女-壱-
やましい気持ちが多少なりともあり、
ぽつりとなまえの方から切り出してくれる。
「悟から聞いているよ」
「最後までやるのってキスよりも気持ちいいの…?」
そう言われて即答できない自分がいた。
男として一皮むけて成長する意味のある行為だと思ったから童貞を卒業した。
女性によって性感帯やアソコの構造が異なり、何人か抱いたことはあっても通過点に過ぎない。
「気持ちいいよ。相性のいい相手に出会えた時なんかは
特に忘れられない」
「へえ…。やっぱり気持ちいいんだ」
顔は覚えていないがアソコの具合なら記憶に新しい。
ちょうどいい体位で使わせてもらった時は気持ちいいと思ったし、自分勝手に抱きたいと思う欲はあった。
けれど二回目が終わった時、三回目はないと思って連絡先を消した覚えがある。
「いまフリーなんだよね?」
「うん」
「今までの人みたいにわたしともエッチできる…?」
…断じて無理だ。
あれは性的な快楽を得るだけの行為。
好きな子を相手に快楽だけで終われるはずがない。
「…できるよ。性感マッサージを悟に教えようとしたんだけどお前がやれって頼まれたんだ」
「マッサージ?それってエッチなの?」
「ああ。普通にエッチするよりエッチかもね」