第37章 五条悟 親友の彼女-零-
寮の共同シャワー室に行くと先客がいた。
…ずっと考えていた。
コイツならなまえと上手くやれるんじゃないかって。
「傑。取り込み中?」
「もう出るところ」
傑はシャワーの蛇口を止め、腰にタオルを巻く。
まじまじ見ると怪訝な顔をされる。
でもそれでいい。
二ヶ月前よりいい顔をしているから。
去年の災害頻発の影響もあって俺ら最強コンビは実質解散したようなもんで、一人で任務をこなすようになった。
俺らは強いし、量も質も人より多かった。
むしろじゃんじゃん手柄を立てて競っていたつもりだった。
傑と久々に会ったら痩せたように見えて、本人が言うように夏バテなんだろうと俺はその言葉を鵜呑みにした。
けれど、なまえの話を後から聞いて知った。
本当は悩み苦しんでいたのだと。
人生を生きる目的がわからなくなってしまったと。
なまえとコンビを組むようになってから傑は顔色を取り戻した。むしろ前よりいいんじゃないかってくらい。
やっぱその辺は俺や硝子には真似できない、なまえの性格のよさが出てるんじゃないかって思った。
「お前さ、そのイチモツ使ったことあるだろ?」
「またその話か…」
「最後まで聞けって。傑にしか頼めねぇの」
「…?」
こんなことをお願いする俺もどうかしている。
そもそもなまえに確認取ってねぇし。