第34章 七海健人 夫婦交換しよ?-弐-
「あっいえ…!それはないです。
わたしも健人さんも割り切って接していますので」
口ではそう言うけど信憑性が低い。
どう説明していいか悩んでいると静先輩は「ぷっ」と吹きだした。
「真面目なあなただから信用したの。
じゃあ今晩もわたしの夫の相手よろしく頼むわねっ」
清々しいほど尊敬できる先輩だ。
それはそうと、この件に関して陽だけ知らない状態で行われている。
夫婦別々の部屋になっても「ふーん」と興味ない様子でゲームを触り、わたしの話には耳を貸そうとしない。
むしろモヤモヤしてきた。
静先輩に陽を任せたけれど…距離が近い。
「どうしよう…。陽が先輩の虜になっちゃったら」
静先輩は美人だ。スタイルもいい。
後輩の面倒見もいいし、わたしも魅了されたその一員。
普通に見ていれば先輩後輩の距離感なんだろうけど…
「モヤモヤしているなら部屋に行ってみます?」
「えっ…でも」
「間違いなんて起きてませんよ。
そのせいで私は避けられているんですから」
それもそうだ。
不安なのはわたしだけじゃない。
目的は違えど健人さんも夫婦生活を継続させたいから
わたしの体で満足してもらっているだけだ。