第32章 夏油傑 花火
傑先輩はどこにいても目立つ存在で
見上げるわたしの視線に気付くと柔らかく微笑む。
「どうかした?」
「先輩…いつ見ても格好良いなぁと思って」
「ふふっ、なまえもいつ見ても可愛いよ。
あ、そうだ。先にコンビニ寄ってもいいかい?」
「いいですよ。何買うんです?」
「ちょっとね」
コンビニに入ると好きなお菓子を買っていいよと言われ、会計に並ぶと傑先輩は何も持ってないことに気がつく。
「あれ?先輩のは…?」
「在庫がないか聞いてみようかと思って。
…すみません。XLのコンドームの在庫ってありますか?」
「ぶっ…!」
会計の順番がきて思わず吹き出してしまう。
店員さんは在庫を確認するといい、花火大会ともあってコンビニは大変混雑していた。
「先輩、なんでわざわざ混んでる時に…っ」
「あれが最後の一個だったって今しがた思い出してね。
花火大会はみんなも性欲が高まっちゃうのかもね」
「~っ」
結局お目当てのものは買えず、寮に帰ったらエッチはないのかと少し残念な気持ちも沸いてくる。