第32章 夏油傑 花火
大きな手が離れると抱き合って長いキスをする。
「はぁんっ…ん…はぁ…っん…」
「なまえ、もう行ったみたいだ…。危なかったね」
楽しそうに笑いながら傑先輩はお漏らししたところをハンカチで拭いてくれる。
「膝ガクガクだけど大丈夫…?」
「大丈夫じゃないですっ…!
今年こそみんなで揃って花火みたいですし…
二の舞にならないように先にお披露目したのに」
去年は傑先輩のせいでドタキャンした。
わたしの浴衣姿を見るなり発情し、花火の音だけ感じて終わってしまったのだ。
「ごめんごめん。あまりにもなまえが可愛すぎて。
それになまえだってノリノリだったでしょ?」
「うっ」
傑先輩のエロさには逆らえない凄味がある。
乱れた浴衣も髪も綺麗になおしてくれ、時間をみるとまだ間に合いそうだ。
「これでよしっと。可愛いよ」
「来年の夏は浴衣で過ごします」
「あはっ、それはいいね。まだ暑い日が続くみたいだし
新しい浴衣買ってあげるよ」
「いいんですか?」
「今日のお詫び。みんなが待ってる。さあ行こうか」
差し出された手を繋いで人混みを歩く。