第23章 夏油傑 浮気
「…?」
夏油くんは携帯をおき、ちゅっとわたしの唇を鳴らす。
「へっ…?」
「当たらずといえども遠からず。どうです?
私に浮気するのは」
いつも優しい夏油くんが獲物を狙うオスになった。
薄い唇の感触が残り、雰囲気に流されてはいけないと顔をそらすも熱を帯びた視線を意識してしまう。
「なまえさん次第ですよ」
そう言って携帯の写真を見せて、わたしは浅はかな気持ちが抑えられなくなる。
「…いいの?」
「キスが答えになりませんか…?」
「ううん。…なる」
写真はあとで消せばいい。
言いわけはあとで考えればいい。
それよりも今は目の前にいる夏油くんに愛されたくて唇を合わせ、わたしはダメな大人になって唇の表面を啄むように何度も撫でる。
「年上女の相手は大変だよ?」
「私も同じ言葉を返しますよ。高校生ですから」
未成年とやるなんて初めてだ。
「ってゆうか夏油くん。
あっ…やっぱいいや。聞きたくない」