第3章 伏黒甚爾 嚙みつくようなキス
「なまえ…」
大好きな人の声が聞こえる。
必死で忘れようとしているのに名前を呼んでくる。
「なまえ。顔上げろ」
息をつく間もなく唇に熱が当たった。
ぼやけた視界を確認できないまま、
頭ごと押し付けられる。
「んんんっ」
「はっ…逃げんな」
噛みつくような乱暴なキス。
歯がカチカチあたり、何度も角度を変えて求めてくる。
「止まったな」
「な…なんで…」
「なまえが俺の話、ちゃんと聞かねぇからだろ。
嫌いになったならもっと抵抗しろ」
「んむっ!」
そう言って、返事をするより態度でしめせと言ってくる。
…最初に抱かれた時もそうだった。
素直に好きだと言えなくて、散々喘いだ日のことを思い出す。
「んう、っぁ」
忘れるなんて出来っこない。
戻ってきてくれたことが嬉しくて広い背中に腕を伸ばす。
「なまえ…俺にどうされたい?」