第22章 禪院直哉 繋がる体と繋がらない心
答えはいずれも二つ。
口ですればキスはしない。
口を拒めばキスをする。
「…します…。口で…させてください…」
「へえ。なまえちゃんってキス重視するタイプねんな」
「…っん!!」
答えの真逆を突いてキスをしてきた。
ぬるりと口の中に舌が入る前に体がどんっと拒絶する。
「も、申し訳ございませんっ」
恐ろしくて顔を上げられない。
男に逆らってはいけない家で直哉の体を押しやってしまう。
「ええわ。顔上げて?」
「…」
「二度は言わん」
「っ…」
こんな仕打ちが待っているなら嫁ぐ前に潔く死ねばよかった。
この家には、わたしが愛した人はいないのだから。
「何か思い出したみたいやね。
なまえちゃん、今まで見たことないくらい最高の表情やで」
「はっ…うぅ、んっ…ううう…」
顔を持たれて無理やり舌を捻じ込んでくる。
…ドブのような最低な人だ。
思い出を土足でぐちゃぐちゃに踏み荒らす乱暴なキスだったのに、抵抗が弱まるにつれて…抱きしめてきて、蕩けるような上手いキスを与えてくる。