第20章 五条悟 脱ぎかけの衣類
「っ…!?」
いつの間にか悟先輩が近くまで迫っていた。
長い睫毛にきめ細かな肌。
髪が濡れて、色っぽさが増している。
「こうやってスンスンされる人の気持ちお前にわかる?」
悟先輩がマジトーンで怒っている。
鼻先をかすめる距離で首の匂いを嗅がれ、胸の奥がぎゅっと痛いほど締め付けられる。
「ご…ごめんな…」
「そうじゃなくて。はぁ…マジで勘弁してよ。
好きな子に匂い嗅がれて正気じゃいられねぇって話」
「えっ…?」
眉間に皺を寄せて見つめてくる悟先輩。
でもよくよく見ると耳だけ真っ赤に染まっている。
「お前はどーなの…?
俺の匂いスンスンしちゃうくらい好きなの?」
悟先輩に至近距離で見詰められると嬉しいよりも恥ずかしくて、声に出す余裕もなくて何度も首を縦に振る。
「口で言って?じゃなきゃノーカン」
「っ…す…きです…。悟先輩…」
「なまえの匂い嗅いでたら禁欲とか無理そうだわ」
「きゃっ」
すぐそばのベッドにポイッと投げ飛ばされる。
すっぽり隠れてしまう大きな体に組み敷かれ、身動きできなくなる。